今こそ考えたいブラック・マジシャン構築論 202010版
すでにご存じのとおり、2020年10月施行のリミットレギュレーションで「超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ」が禁止カードになります。
「ブラック・マジシャン」の関連カードの規制は「混沌の黒魔術師」に続いて2度目、TDILでテーマデッキ化されて以降では初めてのことです。昨年に新規を手に入れて以来の大幅な変化になるので、構築に悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
前置き
基本戦術や回し方の説明は割愛します。(少々古いですが、当ブログの過去記事で解説しているのでご参照ください。)
デッキを形成するための必須カード群はおよそ20枚程度。
残りの枠にどれだけの可能性があるかを考えるのが、今回の本旨です。
あくまで普遍的な傾向を導くための考察ですので、混ぜものや、ファン要素の濃いものなどは除外します。使っているカードについて触れられていなくてもご容赦ください。
メインデッキの構築
まず考えるべきは「圧縮」と「妨害」のバランス。
圧縮はメインギミックの精度が上がる一方で、カードのダブりなどによって戦術が単調になるリスクを抱えています。
妨害は手札誘発や罠などの除去、捲り。積みすぎるとデッキの回転に差し障りますが、相手の手を止めることで間接的に本命の動きを通しやすくできます。
よって、理想はメインギミックの成立に十分な最低限度の圧縮と、強固な盤面をつくる多彩な妨害の両立を目指すことにあります。理論値だけではなく試行を重ねて、最適な比率に近づけていかなければなりません。
また、もうひとつ意識したいのがメインギミック以外の「サーチ対象」の存在。「ブラック・マジシャンのカード名が記されたカード」「闇属性の魔法使い族」「融合またはフュージョンカード」などは少量投入するだけでも活躍が見込め、選択肢を広げることができます。
さて、次はこれらを踏まえて、具体的な選定に移ります。
圧縮
基本的なことですが、アド損しないことが基準になります。
- 初手で発動できる条件である
- 手札が減らない
- 相手に引かせない
- 無効にされても2:1交換にならない
成金ゴブリン
アドバンテージでの優位性はありませんが、陣やしもべのトップ操作によって1ドローでも手札の質を高めることができます。枠があれば入れていいカードだと思います。
壺
ドラグーンの離脱により採用が検討されます。メインデッキには溶けても致命傷になるカードが少ない点、他のドロソと喧嘩しない点から、強貪の方が相性はよさそうです。
魔導書
特筆すべきは「魔導原典クロウリー」のサーチ対象であること。魔法使いが2体並ぶだけで壺と同等の効果が期待でき、リンクの選択肢が広がります。3種類あることが条件なので枠を割くことと、バテルの召喚権を考慮しても、投入するメリットは大きいです。
三戦の才
相手の行動を逆手にとって発動条件を満たす異色のドロソ。初手では「灰流うらら」以外の手札誘発を誘いにくいことから、やや扱いづらい印象ではあります。
手札交換
同名や役割の重複するモンスターのダブり解消にも一役買ってくれます。これ自体が事故札になり得ますが、陣やしもべでトップに闇属性を置くことである程度緩和ができるので、気にするほどではないかもしれません。
永続
いずれもソウルズで墓地に送ることで追加の1ドローが見込める点と、毎ターン発動できる点が他のドロソにはない利点です。しかしながら相応のリスクも抱えるので、安定性では劣るという評価になります。
特殊召喚不可
ソウルズ、見習いやリンク召喚が初動の重要な役割を占めるため、採用圏外。ブラック・マジシャンの展開より汎用罠での妨害を重視する狙いであれば一考の余地はあるかもしれません。
妨害
選択肢は枚挙に暇がないので、何に価値を置くかを考えて取捨選択をします。
- 先攻特化か後攻も考慮するか
- リスクを減らすかリターンを増やすか
- 自分を守るか相手を崩すか
手札誘発
性能はいわずもがな。シナジーも考慮すると一長一短です。
G:しもべからキーカードを引き込める
ヴェーラー:「水晶機巧-ハリファイバー」から「神聖魔皇后セレーネ」を出せる
泡影:ロッドやソウルズのトリガーになる
カウンター
相手のカードを未然に防いで壊滅を避ける目的のカード。先攻以外では扱いづらいかもしれません。
その点、通告は盤面の処理としても強力。墓穴と同様、ナビに対するGやうらら、ロンギヌスにも刺さり、リバースカードの中では最も広範囲を見られるカードだと思います。
永続
先張りが前提かつ相性問題もあって、サイドデッキへ下げるかは考え方次第。ソウルズで能動的に捨てられるので、邪魔になった際にもある程度は融通がききます。
展開補助
及第点の妨害性能を持ちつつ、メインギミックの支援もできる優等生。器用貧乏?
サーチ対象
いずれもピーキーな役割になるので、素引きを許容できるか(腐らせずに処理できるか)が採用の分かれ目です。相手のデッキとの相性に依存する場合は、無理にメイン投入せずサイドデッキに逃がしてもいいでしょう。
ブラック・マジシャン・ガール
陣ナビの並びが揃っていれば、余ったロッドが+1妨害に。また、守護神官カードと比べてもアクセス手段が豊富であり、お手軽にしもべのドロー枚数を増やすことができます。
「師弟の絆」や「融合派兵」などのサポートも相まって爆発力は上がる一方で、事故率と手札消費が増えるので、短期決戦に持ち込めるよう構築とプレイングを寄せる必要があります。
守護神官マハード
ソウルズ+しもべで即座にランク7へ繋げられるカード。とはいえ、この2枚の組み合わせならセレーネ(→アクセスコード・トーカー)の展開も容易なため、ランク7を目指す明確な理由がない限りは採用する価値は低いです。
守護神官マナ
しもべのドロー増強を主目的に据えつつ、リンク召喚の展開にもいくらか貢献します。相手依存であることから、仮想敵を見据えて展開パターンを定めておく必要があります。
黒き森のウィッチ
ナビで出してロッドでリリースすることによりソウルズをサーチ可能。素引きしても「聖魔の乙女アルテミス」から手札誘発や「沈黙の魔術師-サイレント・マジシャン」を構えられます。
墓地封印
サイド向けですが、ナビから相手を妨害できます。ナビを発動したいタイミングと墓地を封じたいタイミングは必ずしも噛み合わないため、プレイングには注意しなければなりません。
融合魔法
最強の融合モンスターを失ったので、ここに枠を割く価値があるかは怪しいところ。しかし、限定的ながら未だ活躍できるポテンシャルは秘めていると思います。
融合徴兵
ブラック・マジシャンを引けなかったり、見習いをスカされた際に「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」でケアできます。エクストラ枠を食うのが玉に瑕。
エクストラデッキの構築
エクストラに依存しないデッキではありますが、役立つシチュエーションを理解しておけば戦術に幅を持たせることができます。
LINK-1
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永遠の魂やロッドを発動できるように墓地へ送るための枠。これが勝ち筋になる(ないと負け筋に繋がる)ことは少なからずあるのでほぼ必須といえます。
LINK-2
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役目を終えて場に滞留したモンスターが2体いる場合は、リンク召喚でさらなるリソースを確保します。いずれも単体では機能しないモンスターであるため、効果を活かせるようにデッキを組む必要があります。
LINK-3
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陣のトリガーとアクセスコードの展開を兼ねるセレーネが非常に優秀。基本的にはナビなどで並べたモンスターを素材にしますが、盤面が空でも手札2~3枚でLINK-3に繋げる方法はいくつか存在するので、積極的に狙っていきましょう。以下はその展開例です。
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ロッドでしもべサーチから見習いで3体並べる例。
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召喚権を残してクロウリーを出し、手札のブラック・マジシャンを通常召喚する例。もちろんクロウリーでサーチしたバテルを召喚してもOKです。
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余った手札誘発でハリファイバーを出す例。
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トマホークから魔法使いを出す例。ウィンの効果も使えれば儲けものです。
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アウスで相手の墓地のGなどを蘇生する例。
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上記の風属性版。仮想敵は特にありませんが、イムドゥークもウィンも別の採用理由があるので覚えておいて損はないです。
ここまでの12枚にマスカレーナやアナコンダを使うためのカードも加えると14枚。枠をほぼ使い切ってしまいますので、他のカードを投入する場合はさらに厳選しなければなりません。
ドラグマ対策や融合枠はもとより、上記以外にもいくつか候補が挙げられます。
ガールを採用している場合、ソウルズと見習いで出せるギャルの優先度は高くなります。
幻想はギャルに重ねるだけでなく、ランク7としても強力な1枚。ギャルに重ねる場合、あえて効果を使わないことで素材4アーゼウスまでいけますが、アーゼウス自体が好相性ではないので過信は禁物です。
耐性や直接攻撃でアーゼウスへ繋ぐランク7のエクシーズモンスター。
汎用リンクモンスター。「王宮の勅命」や「閃刀機関-マルチロール」など、残しておくと不利になる永続系のカードは一定数あるため未だ現役です。
ソウルズが除去カードに変わりますが、対象となる位置にモンスターがいることは稀であり優先順位は低いかもしれません。
主にセレーネかトマホークから。強力ではあるものの、耐性突破枠はアクセスコードに取って代わられたように思います。同様に「セキュリティ・ドラゴン」や「星杯戦士ニンギルス」などの従来のトマホーク枠も今では採用理由を失ってしまいました。
おわりに
本記事の内容は私の経験から得たセオリーをなぞったに過ぎません。私自身、これが結論ではなく、より強い構築を模索しているところです。
デッキ構築に取り組む上では既成概念にとらわれないことこそが重要なので、あくまで参考程度に役立てていただければ幸いです。
以上