鉄獣戦線は剣闘獣のお供になれるのか、比較検討結果
PHANTOM RAGEに収録された「鉄獣戦線(トライブリゲード)」は、獣族・獣戦士族・鳥獣族を墓地から除外してリンクモンスターを特殊召喚するテーマです。効果の条件の緩さから、種族統一デッキとの親和性が高いことで注目されています。
さて、この出張テーマ鉄獣戦線、リンク召喚を軸に展開する剣闘獣でも採用が見込めます。しかし、スペースや召喚権の関係から他のモンスターの枠を食うことになるので、単に突っ込めばいいわけでもありません。
そこで本記事では、既存のギミックと様々な観点から比較して鉄獣戦線の採用の優位性について考察したいと思います。
基本情報
メインデッキの鉄獣は以下の共通効果を持ちます。
自分の墓地から獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスターを任意の数だけ除外して発動できる。除外した数と同じ数のリンクマーカーを持つ獣族・獣戦士族・鳥獣族リンクモンスター1体をEXデッキから特殊召喚する。このターン、自分は獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスターしかリンク素材にできない。
効果の発動にはモンスターを墓地に肥やす必要がありますが、それを実現するのが「フラクトール」と「ナーベル」の2体。
手札・フィールドのこのカードを墓地へ送って発動できる。デッキからレベル3以下の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター1体を墓地へ送る。
このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「鉄獣戦線 ナーベル」以外の「トライブリゲード」モンスター1体を手札に加える。
フラクトールでナーベルを落として鉄獣をサーチすることで、何も消費せず墓地だけ2枚増やせます。とっても便利ですね。
よって、基本はフラクトール1枚から墓地肥やしを経由して鉄獣を通常召喚し、効果でLINK-2を呼び出すことから始まります。なお、鉄獣の効果による特殊召喚はリンク召喚ではないため、スレイブパンサーではなくドラガシスを出すのが主となります。
盤面に剣闘とモンスター1体が並んでいるのでパンサーを出すことは一応できますが、正規召喚ではないドラガシスに蘇生制限がかかるため展開が続きません。なのでここではドラガシスで戦闘を行うものと仮定します。
ドラガシス効果でレベル5以上の剣闘2体を特殊召喚。
エーディトル効果でドミティアノス特殊召喚。
パンサー(1)効果で再起サーチ。
再起でエーディトル特殊召喚。
エーディトル効果でガイザレス特殊召喚。
パンサー(2)効果でガイザレスを戻してエクイテ特殊召喚。
エクイテ効果で再起回収。
再起でエーディトル特殊召喚。
クロシープ効果でフラクトール特殊召喚。
エーディトル効果でヘラクレイノス特殊召喚。
リンク召喚あるいはエクシーズ召喚の選択肢は豊富ですが、アポロウーサが扱いやすいかと思います。
比較1:消費枚数
上で示したように、剣闘で上振れするには剣闘2体+モンスター1体の形が原則です。
既存のカードプールで剣闘を並べるものといえば「レスキューラビット」「レスキューキャット」ですが、これらと比べても1枚で3体分になる鉄獣に分があります。
しかし、後攻でモンスターを1体追加で出すのは特段難しくはなく、「獣王アルファ」「原始生命態ニビル」「簡易融合」「精神操作」など、盤面の捲りついでに展開できるカードは多数存在します。逆に、鉄獣は効果使用後にリンク素材の制約があるため上記のようなカードとの噛み合わせがやや悪いです。(アルファは獣族ですけどね)
また、上記はあくまでも後攻の場合。先攻で考えると見え方が変わってきます。
先攻といえばパンサー+剣闘+剣闘でエーディトルとドミティアノスを並べるのが目標になりますが、これを鉄獣で実行すると3枚必要になることがわかります。(「予想GUY」や「ヒーローアライブ」などで剣闘をデッキから特殊召喚できる場合は除きます)
剣闘を手札・墓地から出すにはケラスが必須です。なお、ケラス素引きだと墓地が肥えていないので、フラクトールを経由する点は変わりません。
ラビットの場合、アンダルを蘇生したり「リンク・スパイダー」で特殊召喚したり、多彩なルートで条件を満たすことができます。
キャットだとサムニテを再起で蘇生することはできないものの、他の特殊召喚カードがあればラビットと同様に2枚消費で抑えられます。エラッタ前の猫ならさらにスレイブタイガーでごにょごにょできたのですが…。
比較2:初動確率
鉄獣の1枚初動はフラクトールとそれをサーチできる「天璣」の2種類。
加えて、ナーベルも手札に他のモンスターがあれば始動札になります。
ナーベル通常召喚。
ナーベル効果でケラスをサーチ。
ケラスを自身の効果で特殊召喚することで、墓地2体&場に鉄獣を揃えられます。
アルミラージは鉄獣の制約があっても自主退場できるため邪魔になりません。ただし、鉄獣で剣闘を除外してしまうとセオリー通りに回らなくなるのでご注意ください。
かたや鉄獣を採用しない場合の始動札ですが、こちらも主にラビット、キャットの2種類。ただし前述のとおり理想盤面にはもう1枚必要であることから、鉄獣入りの方が初動は安定しているといえるでしょう。
比較3:投入内訳
ギミックをいかに省スペースに完結できるかは重要な視点です。
剣闘の必須枠が4枚で
出張の必要数はというと
9枚。アンダバタエを活用できない鉄獣ではアウグストル以外の上級剣闘が必須です。
一方でレスキュー採用だと
12枚。
その差は3枚ですが、モンスター13枚で回すのはかなり怪しいので、現実的には鉄獣の場合でももう2~3枚は剣闘を追加する必要があるでしょう。つまり、枚数上の優劣はあまりないと判断できます。
では続いて質について。引きたい順に並べてみると
こんな感じでしょうか。剣闘モンスターは最低限の使途があるのに対して、ケラスは墓地を肥やせない状況下では完全にハズレといえます。
いいとこ取りするなら鉄獣+ラビット1~2+アンダル2~3のような組み方も悪くないかもしれません。両方フルはさすがに多すぎですが。
その他
ピンポイントなところで、レスキューの強みとして「PSYフレームギア・γ」との相性のよさが挙げられます。鉄獣の場合は通常召喚するとγが腐ってしまいますが、レスキューはコストで場を離れるので「増殖するG」などにあわせてγを打つことができます。
まとめ
手札消費 | 後攻 | 1~2 | 2~3 |
先攻 | 3 | 2~3 | |
投入枚数 | 始動札 | 7 | 6 |
剣闘獣 | 5~8 | 10 | |
他 | 1 | 0 |
総合的に、鉄獣を採用することは有用であると結論付けられます。
しかし、どんな場面でも優位なわけではなく構築バランスやプレイスタイル、環境にも左右されるので、取捨選択が必要でしょう。
と、曖昧な形での締めになってしまいますが、今後も試行錯誤して剣闘使いの皆様とともに精進できればと思います。
以上